発明による社会貢献の喜びを次世代に伝える“子どもたち みんなが発明家”
樫尾俊雄 発明アイディア コンテストは、発明による社会貢献の喜びを次世代に伝えることを目的に、全国の小学生を対象としたコンテスト。2回目の開催となった今回は、4月17日~9月20日まで「人の役に立つもの」「日常生活に便利なもの」「未来の世界であったらいいなと思うもの」という3つのテーマを基に発明アイディアを募集し、575作品の応募がありました。2019年11月17日(日)、東京電機大学カシオホールで行われた決勝大会では第1次・第2次審査で選出された優秀者10組(11名)が参加し、それぞれの発明アイディアについて発表と審査が行われました。
審査員は、株式会社音力発電 代表取締役 速水 浩平氏、特定非営利活動法人 ガリレオ工房 原口 智氏、サイエンスパフォーマー すずき まどか氏、樫尾俊雄記念財団 理事長 樫尾 隆司の4名が務めました。
決勝のステージでは、10組11名のファイナリストが発表順に名前を呼ばれ、大きな拍手に包まれながら入場。これから始まる特別な舞台への期待感やご家族やプレス関係の方々の熱気で、会場の雰囲気も最高潮に達しました。それぞれの発表では、栄えあるこの日までに繰り返し練習した成果がしっかりと見て取れました。作品を説明する声も大きく、学年を問わず堂々とした姿が印象的でした。どれも発明の背景がしっかり伝わる内容で、審査員の方々からの踏み込んだ質問に対しても、しっかり受け応えるという、決勝大会にふさわしい内容となりました。
昼食を挟んで、審査員の方々が各賞を議論していた午後には、すずきまどか先生による科学ショーが開かれました。強力な磁石を使った自家発電装置で、手回しのハンドルを使って電球を灯すというアトラクションに、ファイナリストのみんなも笑顔で参加しました。
アトラクションに続いて、緊張と期待が膨らむ、お待ちかねの結果発表です。
決勝大会に進んだ10作品の中から、以下の発明アイディアが表彰されました。
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◆静岡県磐田市立磐田西小学校 3年/1年
佐藤 迪洋(さとう みちひろ)さん
知海(ともみ)さん◆応募カテゴリー:
未来の世界であったらいいなと思うもの
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作品名:日本の文化と伝とうを守る「スーパー瓦」
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●作品名:日本の文化と伝とうを守る「スーパー瓦」
●アイデアポイント:日本中の重よう文化ざいで使える
●受賞コメント:かわらや壁の会社への取材と首里城の壁の模様を描くのが大変でしたが、最優秀賞が取れて本当に嬉しいです。「スーパー瓦」を壁にすれば、火事にも耐えるので、首里城も燃えずに済んだと思います。
★審査員の先生からひとこと:(樫尾)
歴史が好きで、首里城を題材にして発明したアイディアは、実際に瓦を焼いてみたり、壁材のメーカーに取材したり、 気持ちのこもった作品でした。兄妹で支えあいながら発表したのも印象に残りました。首里城をはじめ日本の文化遺産を守れるような、いろんな発明アイディアを期待します。
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◆東京都練馬区光が丘夏の雲小学校 2年
山田 耕司郎(やまだ こうしろう)さん◆応募カテゴリー:
未来の世界であったらいいなと思うもの
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作品名:空でのうぎょうたべものづくり
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●作品名:空でのうぎょうたべものづくり
●アイデアポイント:くもでやさいやくだものをつくる
●受賞コメント:このコンテストはお父さんに教えてもらいました。空を見上げて、野菜や果物が作れたらいいと思ったことから、このアイディアが生まれました。これからもすごい発明にチャレンジしたいです。
★審査員の先生からひとこと:(速水)
アイディア自体が現実離れしていて、この賞にぴったりでした。雲の上で農業、というのは、普通の人には発想できないようなレベルです。大人になってからも発明する際のヒントになるかもしれないし、非常に良いアイディアだと思います。
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◆長崎県長崎大学教育学部附属小学校 3年
小林 拓眞(こばやし たくま)さん◆応募カテゴリー:
未来の世界であったらいいなと思うもの
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作品名:しんかい れい水 せん風船 クジラゴー2019号
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●作品名:しんかい れい水 せん風船 クジラゴー2019号
●アイデアポイント:深海の冷たい水を大きなプロペラで水面までおくると、サンゴがいきつづけて、魚も元気になる。
●受賞コメント:環境問題にはすごく興味があります。深海は水が冷たいし上は温度が高いので、地球温暖化の防止を考えて、海面を冷やすためにスクリューを考えてみました。
★審査員の先生からひとこと:(原口)
今回は海の中での発明アイディアですが、地球温暖化のことを一生懸命考えた、非常に夢のあるこの作品を選びました。 宇宙では何ヶ月も滞在できる国際宇宙ステーションがあり、50年前には夢にも思わないことが現実になっていますが、これからも発明を続けていって欲しいと思います。
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審査員特別賞
◆山梨県甲府市立朝日小学校 6年
今井 蓮(いまい れん)さん◆応募カテゴリー:
人の役に立つもの
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作品名:ぼくらを守る光の点字ブロック
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審査員特別賞
●作品名:ぼくらを守る光の点字ブロック
●アイデアポイント:地しんや停電の時に目が不自由な人でもにげれるように
★審査員の先生からひとこと:(速水)
世の中のためになる発明アイディアで、地震や台風など災害が多い日本では役に立つと思います。この作品を実現したいなと思わせる内容で非常に良かったと思います。
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審査員特別賞
◆高知県南国市立久礼田小学校 5年
横山 令来(よこやま れいら)さん◆応募カテゴリー:
人の役にたつもの
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作品名:なんでもすぐなおせるくすり
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審査員特別賞
●作品名:なんでもすぐなおせるくすり
●アイデアのポイント:水をたらしてできたくすりをのめばすぐになおります
★審査員の先生からひとこと:(原口)
住んでいる近くに総合病院がないので、役に立つ薬を作ろうという、心の優しい発表だと思いました。しっかりとした背景がある素晴らしい発明アイディアです。
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審査員特別賞
◆愛知県刈谷市立住吉小学校 1年
澁谷 泰知(しぶたに たいち)さん◆応募カテゴリー:
生活に便利で役立つもの
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作品名:ふうせんでんどうベビーカー
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審査員特別賞
●作品名:ふうせんでんどうベビーカー
●アイデアポイント:でんどうでらくにおでかけふうせんであかちゃんをまもる
★審査員の先生からひとこと:(すずき)
子育て中は、荷物があると重くて大変。台の上に乗ると動いてくれるし、坂道の移動も楽になるし、素敵なアイディアです。
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優良発明賞
◆愛知県刈谷市立住吉小学校 6年
水谷 総王(みずたに そお)さん◆応募カテゴリー:
未来の世界であったらいいなと思うもの
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作品名:自動でお助け!! 可動式防波堤
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優良発明賞
●作品名:自動でお助け!! 可動式防波堤
●アイデアポイント:地しんのときなど、必要なときに自動的に防波堤が地上にあがってくる。
★審査員の先生からひとこと:(速水)
この審査の基本は2つあり、ひとつは世の中にないアイディアであり、ふたつめは、人や社会のことを思ったアイディアであること。これらを照らし合わせても、災害が多い日本に住んでいる人のためになる発明です。
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優良発明賞
◆愛知県刈谷市立住吉小学校 6年
古川 玲実(ふるかわ れみ)さん◆応募カテゴリー:
人の役にたつもの
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作品名:魔法の杖!
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優良発明賞
●作品名:魔法の杖!
●アイデアポイント:目の不自由な人に道案内をする杖です。おもに目の不自由な人に向けた杖です。
★審査員の先生からひとこと:(すずき)
タイトルは魔法と書いてはいるけれど、実際に実現できそうなレベルの内容が書いてあるのでびっくりしました。困っている人のことを思いやった素敵な発表でした。
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優良発明賞
◆静岡県静岡大学教育学部附属静岡小学校 1年
甲賀 大智(こうが だいち)さん◆応募カテゴリー:
未来の世界であったらいいなと思うもの
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作品名:しょくひんロスをなくすれいぞうこ
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優良発明賞
●作品名:しょくひんロスをなくすれいぞうこ
●アイデアポイント:さいごに、しょうみきげんがきれないふくろにいれられる!
★審査員の先生からひとこと:(速水)
世界では貧困のために食べられない人が多いので、地球規模でこのアイディアが実現したら人々の役に立つと思います。日本にいるとなかなか気づかないアイディアです。
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優良発明賞
◆愛知県刈谷市立住吉小学校 3年
貝淵 遥生(かいぶち はるき)さん◆応募カテゴリー:
未来の世界であったらいいなと思うもの
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作品名:ほこうしゃをまもる道ろ
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優良発明賞
●作品名:ほこうしゃをまもる道ろ
●アイデアポイント:スピードを出しすぎないし、人のおうだん中は車がとまるようになっている
★審査員の先生からひとこと:(原口)
クルマをつくっている人たちや道路を整備している人たちも、安全面を考えていると思いますが、小学生の中にも安全を考えてくれている人がいることがうれしいなと思います。未来を明るくする発明です。
総評:審査員長の樫尾俊雄記念財団 理事長 樫尾 隆司
樫尾俊雄 発明アイディア コンテストも今回で2回目を迎え、応募されたアイディアは、素晴らしいものばかりでした。これからも夢を夢で終わらせず、夢を現実にするためにロマンを持ち続けること。大人になっても人の役に立つという思いをもって夢にチャレンジして欲しいと思います。